2021年11月1日
日々の暮らしに特別なワンシーンを 木目と塗りが映える 山崎又一商店の木製漆器
丈夫で使いやすい近代漆器から、山中の伝統を受け継ぐ木製漆器まで、常に多彩な商品ラインナップで市場のニーズに応えている有限会社山崎又一商店。木目と塗りを生かした国産漆器「けやき」「とりどり」シリーズをはじめ、日々の暮らしを明るくしてくれる漆器を取り揃えています。今回は、企業コンセプトの「日常使い」に込められた思いや、新商品開発エピソードなどを伺い、同社の魅力に迫っていきます。
豊富なラインナップから見つかる それぞれの「日常使い」にぴったりの漆器
コンセプトとして、「日常使いの漆器の山崎又一商店」を掲げられていますね。
そうですね。当社は、より多くの人に「漆器のある暮らし」の良さを知っていただきたいという思いを持って、商品開発・販売に取り組んでいます。たとえば自宅でお酒を飲むときも、漆器のカップに注ぐことで、安らぎや寛ぎを感じられます。木のぬくもりを感じられる漆器を食卓に取り入れれば、日々の暮らしに彩りを添えることができるんです。
当社の豊富なラインナップから、お客さまそれぞれにぴったりな「日常使い」の漆器を見つけていただけると思います。
どんな商品をラインナップしていますか。
リーズナブルなプラスチック製品のほか、どなたにも使いやすいカジュアルな木製・漆塗の商品を多数ラインナップしています。お椀をはじめ、スプーンなどのカトラリー、茶托に皿、お盆などもご用意。日常使いのパートナーとしてお役立ていただけます。
日本製の上質なお椀・「けやき」シリーズも好評をいただいています。国産ケヤキ材が持つ美しい木目を生かし、本漆で仕上げた手なじみの良い漆器です。さまざまなサイズを展開しているので、料理に合わせてお選びいただけます。
2016年にリリースした「とりどり」は数々の賞を受けていますよね。
「とりどり」は、ケヤキ材の木目とカラフルな塗りが魅力の商品です。おかげさまで、2016年に石川県デザイン展、2017年には高岡クラフトコンペで入賞・入選。日本最大級の合同展示会「rooms」への出展も果たしました。
シリーズ構成は、「ぐいのみ」「かっぷ(大・小)」「わん」「こわん」「ばち」。伝統的な「拭漆」「赤摺」「黒摺」はもちろん、パステルカラー7種を含めた全10種のウレタン塗装の商品が人気です。使い方も、選ぶ楽しさも、まさに十人十色。自然な木目を生かしているので、同じものは2つとありません。スープやサラダなど、和食以外の料理にもぴったり。お客さまそれぞれのライフスタイルにマッチする商品です。
木のぬくもりを次代へつなぐ 国産漆器「けやき」「とりどり」シリーズ
山崎又一商店さんは、もともと塗師を家業とされていたそうですね。
はい。当社は1887(明治20)年、塗師であった初代・山崎又一が創業しました。以来、山中伝統のろくろ技術による木製漆器に加え、プラスチックの近代漆器やリーズナブルな輸入品まで、幅広く市場に供給してきました。現在の代表・山崎真嗣で6代目になりますが、常に時代のニーズに即した商品を、自由な発想でご提案したいと考えています。
「けやき」シリーズなどの新商品開発も、ニーズの変化を感じ取ったことがきっかけだったとか。
代表の山崎真嗣が、東京の漆器問屋での修業を終えて山中に戻った2000年代、インテリア漆器などそれまでの「売れ筋」の人気に陰りが見えていました。輸入品も値上がりしていた状況でしたから、差別化・ブランド化のためには、国産の商品を強化しようと考えたのです。そこで目をつけたのが、山中塗の本来の強みであるお椀などの食器でした。
まず取り組んだのは「けやき」シリーズの開発です。水漏れを防ぐ「目止め」など、手間ひまはかかりますが、木目のきれいなケヤキ材を使うことにこだわりました。他の木材では、のっぺりとした印象になってしまいがちですが、自然が生み出したケヤキならではの雰囲気を最大限生かしたお椀にすることができました。
「木目と塗り」の良さを引き出したのですね。「とりどり」シリーズにもその点は生かされていますが、従来の漆器とは少し趣が異なりますね。
従来、漆器を購入いただけるのは40代以上の方が中心でした。色も深い赤や黒がほとんどで、かなり落ち着いた印象がありますよね。一方で私たちは、これからの時代を担う若い世代に関心を持ってもらいたいと考えていました。ターゲットは、2~30代の女性。彼女たちが漆器の良さを知るきっかけになるような商品の開発に挑みました。
女性社員に意見を募ったところ、「かわいい見た目がいい」「コレクションしたくなるようなものがいい」という声が挙がりました。外部デザイナーさんの協力も得て、北欧テイストの「とりどり」シリーズのアイデアが生まれたのです。
大切にしたのは、「けやき」シリーズと同じように、ケヤキ材本来の美しい木目を生かすこと。長年培ってきた塗りのノウハウを生かし、ウレタン塗装も駆使してさまざまな色を出すことに成功しました。
食卓がカラフルになって、食事が楽しくなりそうな漆器ですね。写真にもよく映えて、SNSに日々の食事をアップしたくなると思います。
そう言っていただけると嬉しいです。発売後は、雑誌などのメディアに取り上げられ、多くの反響がありました。今までお取引がなかった企業さまから引き合いがあったほか、個人のお客さまからのインターネットを通した注文もいただきました。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で巣ごもり需要が拡大し、「自宅の食器をちょっと良いものにしよう」という方が増えています。「けやき」「とりどり」シリーズを中心に当社の商品も売上が伸び、より多くのお客さまに漆器が広がっているのを感じています。
職人たちが思い込めた山中漆器を もっと身近に もっと多様に
ほかの器にはない、漆器の良さはどんなところにあるとお考えですか。
漆器は、木地屋さん、下地屋さん、塗師さんなど、さまざまな職人さんが関わって、やっと一つの商品ができあがります。それぞれの工程に、携わっている人の「思い」が込められているのが、漆器の良さではないでしょうか。
職人さんたちの思いが詰まっている漆器を、ぜひ長く使いたいですね。今後の展望をお聞かせください。
今後も、新しいお取引先さまを増やし、さまざまなニーズに応えていきたいですね。「日常使い」というコンセプトを守りつつ、節目を彩る記念品や大切な方への贈り物としても、当社の漆器を選んでいただけるよう、需要を創出していければと考えています。
また、山中塗の産地全体で協力し、補完しあいながら漆器を盛り上げていくことも大事だと思います。山中にはいろいろな職人さんがいて、いろいろな商品がつくれる。みんな違った商いをしているから、お互い良きライバルとして、高めあえるんです。山中の武器である「多様性」を生かしていけたらいいですね。
最後に、このデジタル展示会を訪問された皆さんにメッセージをお願いします。
当社は、さまざまな需要に応えられる、多彩な商品をラインナップしています。とりわけ木製の漆器は「敷居が高い」と思われがちですが、当社はその敷居を下げていきます。木のぬくもりを感じられるカジュアルな当社の商品が、漆器をぐっと身近にしてくれるはず。私たちはこれからも、日々の食卓に特別なワンシーンを加えるお手伝いをしていきます。みなさまのお問い合わせをお待ちしています。